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現代の日用品は、未来の展示品。
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こちらは、当時の人たちが「パイプイス」と呼び使っていた物です。当時の人々がパイプイスと初めて出会うのは小学三年生の春。体育館で卒業式の準備をしているときのことです。ステージ下の空間から出現した夥しい数のイスに、彼らは愕然とします。そしてその機能的でスタイリッシュな構造、未来派を髣髴とさせる銀色の曲線美、全ての人を受け入れるその寛容さに、一瞬で虜となるのです。卒業式では、在校生は教室にある自分のイスを体育館に持ってきて座ります。そして、卒業生の座るパイプイスを羨望の眼差しで見つめます。先生たちの座るパイプイス、来賓の人の座るパイプイス。彼らは其処にどうしても乗り越えられない壁があることを知るのです。社会に埋め込まれたコードを理解するのです。性格を決定付ける遺伝要因が環境によって薄められていくように、意思とは無関係に両足が地面から離れるかのように、迫りくる絶望をなすすべなく受け入れんとするそのとき、彼らは四年生になるのです。
2006.05.27 | Comments(0) | Trackback() | 常設展示品
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